無題

石牟礼道子氏が、若いころ東京で、ある野良猫に出会ったそうだ。猫はうんこをすると、コンクリートを爪で引っ掻きだした。氏はその様子をみて、「土が生き埋めになっている。その上を覆い尽くすビルの群れは、まるで現代の卒塔婆のようだ」とおっしゃった。都会の野良猫をみかけるたびに、私は氏のこの言葉を反芻する。