お役御免とあいなった、ふるいアンリッカラー。すっかり馴染んで、まるでからだの一部をグルーミングするみたいに舌で撫でられ、というか、刮がれ、生地はぼろぼろ。なんど洗濯をしてもおちない黒ずみをつくるくらい、血を吸った。どんなに丈夫なつくりをしていても、これほどつかいこめば、型がくずれふにゃふにゃしてくる。それに気づいた彼女は、そのうち手を棒のようにして、カラーの裏側をつきあげ、ぐんにゃりとさせて、それごとごしごし、かゆいところに手をとどかせるようになった。あいかわらず、手先の器用なやつである。