いつにもまして、芋が体をかきたがる。よくみると、首のまわりに黒いフケのようなものがポツポツと… あちこちに湿疹もある。目鼻や口のまわりならともかく… そうすこし奇妙におもったが、持病のアゴにびきとおなじ、いつもの「ざ瘡」の類かとあまり気にせず、プレドニゾロンをして経過をみることに。

ところが、一週間しても薬の効果はなく、それどころか黒いフケのようなものは増えていくいっぽう。掻痒感もましているのか、湿疹に強く爪をたて、あちこちにカサブタをつくっている。さらによくみると、それらは首まわりだけでなく体じゅうにひろがっている… そんななか、毛皮のなかからゴマ粒ほどのちいさなものが、ぴよんと跳ねた。まさか…

先生にみてもらったところ、恐れていたとおり… ゴマ粒の正体は、ノミ!!湿疹はノミに噛まれた痕で、黒いフケのようにみえたものは、なんとそのフンだったのだ…!!猫だけでなく、今夏はニンゲンのほうも謎の虫刺されが絶えず、「今年の蚊は元気だなあ」なんてのんきにしてたが、猫についたノミに噛まれていたものとおもわれる。

一匹みつかると、百匹はいるというノミ… それどころか、ひとつきで二千個も卵を産むという… いま猫の毛皮のなかでは、産めや踊れやのどんちゃん騒ぎが開催されているのかとおもうと、もじどおり身の毛もよだつ… !!よってらっしゃいみてらっしゃい、満員御礼商売繁盛、蚤の市!?てなもんだ。ノーサンキューだっ!はげくしくノーサンキューだ… っ!!!

それにしても、ノミにつかれるなんて… この子たちがうまれて八年ではじめてのこと。外へはいっさいでず、他猫の接触もないのにもかかわらず、いったいどこで。とはいえ、網戸の目をくぐりぬけてきたとか、窓や玄関をあけたちょっとしたすきをついて入られたとか、ニンゲンが外からお持ち帰りしてしまったとか、侵入経路はいくらでもおもいつく。そんなことに神経質になるよりも、完全室内飼いでもつかれるときはつかれらあ!とひらきなおって、やつらの生態や、おいだし方について学んだほうがよさそう。

ノミは卵のまま何ヶ月も生存できるらしい。猫の被毛から落ちて畳の目やカーペットの繊維にはいりこみ、孵化条件が整うのをまつのだとか。そのため、すべて駆除するには数ヶ月はかかるとのこと。猫の体についたフンの量をみるにつけ、ぐれみ家にはかなりの数の卵が存在しているとおもわれる… 多頭飼いだと一匹でもノミがつくと、あっとうまにすべての猫がやられるというが、案の定、兄のからだからもノミのフンがみつかった。

というわけで、二匹そろってはじめてフロントラインのお世話になることに。月にいちどの投与を、三ヶ月間つづける。やり方はとてもかんたんで、猫の手がとどかないところの皮膚に薬をしみこませるだけ。薬が乾くまでネッカーをつけておくとよいらしい。皮脂腺から体内に吸収され、皮脂にのって皮膚にひろがり、猫のからだをつつみこんでノミを退治するカラクリだそうだ。

一回目のフロントラインからひと月になるが、うわさどおりの効き目にびっくり。あれほどたくさんあったノミのフンはきれいさっぱり消え、あたらしく噛まれているようすもない。あとは、わが家のどこかで孵化のときをまつ奴らが、フロントラインのオーラをまとった猫にとりついて自滅するのを待つばかり。