冬になると、それはあらわれる。お茶の間の中心で、ぽっかりとくちをあけ、あまねく猫をすいこむ。猫どころか、ひとたびすいこまれたらニンゲンもぬけだすことはできない。はっとすると日がくれていたり、夜があけていたりする。どうやらそこだけ時間のながれがちがうらしい。ようこそ、まどろみの小宇宙へ。

炬燵といっても、わが家のそれは、もちろんむかしながらの掘りごたつではなく、電気ヒーターのついた"それもどき"。猫はこれの鳴る「ジジジ」という微かな音が大の苦手とみえ、スイッチをいれたとたんに、もぞもぞと這いでてくる。スイッチを止めてしばらくすると、いつのまにかもどってきて、なかでほとぼりをあびている。

ときどき、こたつに入りたそうにまわりをうろうろしているときがある。ジジジが、外からではよくわからないらしい。そういうときはスイッチを止めて、こたつ布団をめくっておしりをぽんとしてやると、もぞもぞとなかにすいこまれていく。