駐車場から大人の足で一分の家路も、彼の足にかかればちょっとした遠足へとはやがわり。

車をおりると、めのまえを線路がはしっている。ふみきりがなりだすと、線路のほうにむかってはしりだすほど、彼は電車がすきでたまらない。数分おきにやってくるそれを二本、おおいときは三本は眺めないと気がすまない。電車の見学をおえると、そこからすぐの角にある自動販売機のおつりぐちに手をいれる。おつりをとってくれようとしているのはわかるが、なにも買わずにそれをすると意味が変わるので、やめていただきたい。お里が知れらあ、てなもんだ。え!し、失礼な…っ!!!

二台の自動販売機のおつりぐちを念入りにあらためると、そのへんの知らない小道にはいろうとする。でも、家のぎっしりならぶ、車ひとつがやっとの細い道ばかりで、家人の出入りがあるとめんどうくさいので、すぐにつれもどされてごねる。そうこうしていると、むこうから散歩中の犬がやってくる。におうだちでまちかまえ「ワンワ!ワンワ!」と吠える。これでは、どっちが散歩中の犬かわかりゃしない。それをみてにがわらいする飼い主に「す、すみませんwwww」とあたまをさげる。

家まであとすこしの道のどまんなかにこしかけ、マンホールに描かれている絵をゆびさして「ジュウジュウダ!ジュウジュウダ!」と言いながら瞳をきらきらさせる。ジュウジュウダとは救急車のことなのだが、そもそもマンホールに描かれているのは、はしご車である。ちなみに、彼はいま電車とおなじぐらい「はたらくクルマ」に目がない。

ようやく家のまえにつくころには、車をおりてから五分にも十分にもなっている。玄関をあけると、僕にも鍵をもたせろと言ってきかない。しようがなくわたすと、家のなかのあちこちにブスブスとつきさし、あっとうまに飽きて投げすてる。すると、その音につられ猫がやってきて、シャリンシャリンところがしはじめる。おかげで、こないだ鍵の行方がわからなくなり、しばらく外にでられなかった。

まいにちまいにち、そんなことのくりかえし。みちくさもほどほどに。ただいま。