ある日、息子をのせて車を運転しているときに、うしろで「事故は起こるものさ!事故は起こるものさ!」とうるさいので、「ちがう!事故は起こさないものだから!」と言って、事故の怖さをおしえてやろうとした。

事故がおこるとね、おおきなサイレンをしたパトカーがいくつもやってきて、たくさん怒られるんだよ。それに、のっている人は怪我をして救急車がきたり、火がぼうっとでたりして消防車がきたりするんだよ。だから、事故は起こさないようにしないと。

さぞや、怖がっているにちがいないと息子のほうをふりかえると、チャイルドシートから身をのりだして、こちらをみて瞳をきらきらさせていた。しまった。よく考えてみたら、彼がだいすきな「はたらくくるま」の大集合じゃないか。これでは、事故の怖さを教えるどころか、のりもの博覧会だ。

「ジコハオコルモノサ!ジコハオコルモノサ!」と物騒なじゅもんを唱える息子を背後に、私は心を無にし、いっそう運転に気を配るのであった。