割れたグラスは元にはもどらないし、時計の針は逆にはすすまない。私たちは、つい時間が過去から未来にむかってながれているとおもいこんでしまう。でも、もし未来から過去にむかってながれているとしたら?あるいは、ながれてさえいないとしたら?

時間のながれとは、空間のひろがりのようなものだ。あらゆるできごとは、線上に打たれた点ではない。宙空に浮かぶ面のようなものだ。面と面はあわせ鏡のようにそれぞれを映しあう。一日前のことも、一年前のことも、十年前のことも、生まれた日のことも、死んだ日のことも、どれもおなじように。

彼女たちが出会ったのは、ずっと昔のことだったのかもしれないし、ずっと未来のことだったのかもしれない。

老婆と老猫の時をこえた恋物語。ふたりの再会を祝って。