まず、語感がリズミカルですよね。ン、タン、タンって感じで。なんていうか、ジャジーなんですよ。シンコペーションがある。つい、口ずさみたくなるサウンドというか、オノマトペ的というか。なかなか音楽的な言葉だと思うんですよね。それを言うとまわりの大人たちが敏感に反応するのも、おもしろいんだろうね。心理性的発達理論だけでなく、音楽理論的見地も見逃せませんね。とはいえ、ところかまわず、おちんちんおちんちん言われては、フロイトだってうんざりするでしょうけど。

倅のやつ、意地っ張りなところがあって。言い聞かせても、なかなかやめてくれないんですね。それで、あるとき、苦しまぎれというか、その場しのぎで、つい「おちんちんって言いたくなったら、かちんこちんって言いなさい!」と言っちゃったんですね。これがもう、覆水盆に返らずというか、泣きっ面に蜂で。めずらしく素直に言うことを聞いてくれたのが、変だなとは思ったのですが。それからしばらくは、かちんこちんかちんこちん言っていて、「ああ、言わないっていう選択肢は無いんだな」とあきらめながらも、良しとしていたのですが。昨日、お風呂上がりに彼が言い放った言葉に、耳を疑いましたね、僕は。

かちんこちんおちんちん ――― だめよ、それは。アウトだよ、アウト。