紐と木天蓼

十五分前のできごとでした。病院の匂いがしみついてしまった兄をずっと遠ざけていた妹が、このときだけ、めずらしくそばにやってきました。二階のひだまりにさそわれたのか、兄のたべのこしをかぎつけたのか、それともほかになにかあるのか、わかりません。猫語を話せるようになったら、聞いてみたいことがひとつふえました。

スマートフォンでのこの一枚は、これまでのどのカメラのどの写真よりも愛にあふれているようにおもえて、なんどでもみかえしたくなります。ふたりのくっつく姿がみられない冬なんて、この十年いちどもなかったし、はじまりの日からずっといっしょだった彼らのあいだが、このまま離れていくのは寂しかったから。

十二月の空は飛びたつにはすこし寒いけれど、その日は雲ひとつなく天までつきぬけるようでした。長旅の荷づくりはシンプルが鉄則です。いつものアマゾンの箱にゆられながら、だいすきな青い紐と、またたびの枝をくわえて。